2013/14年末年始 アフリカ・タンザニア登山遠征(1)【メルー山・前編】
長ーい移動も含めて私には初めての経験だらけでした。
ブログで詳細に綴っていくとおそらく数ヶ月は費やしそうなほどの思い出の量なので(苦笑)、今回から数回に分けてダイジェスト版の登山レポートをアップしたいと思います!

※ルートラボだと周辺の詳細地図が無いようです

ルート詳細はこちら
アフリカの山と言えば、大陸最高峰のキリマンジャロ(5,895m)が世界的にも有名です。
私自身は「世界七大陸最高峰の1つ」といったその山の肩書きよりも、「あの灼熱のイメージが強いアフリカに、氷河を抱いた山がある」ということに強く心惹かれました

また、写真や映像で見かけたその山の姿の大きく美しいこと!山頂付近の氷河は年々規模を縮小し、2020年までには完全に消滅してしまうかもしれないとも言われていることから、「氷河が残っているうちに、ぜひキリマンジャロへお邪魔したい!」と考えていました。
そして手術後のリハビリやトレーニングを経て、ついにキリマンジャロ登山計画を実行に移すことになりました。
しかし、「せっかくのアフリカだから、他にも面白そうな山があればお邪魔したいな」と欲が出てきまして・・・(苦笑)
限られた日程や予算、自分の状態も含めて検討した結果、キリマンジャロの西数十キロのところにあるメルー山へもお邪魔することに決めたのです

【メルー山登山1日目】
モメラゲート(標高約1,500m)→ミリアカンバハット(標高約2,500m)
というわけで、まずはメルー山登山へ出発!
メルー山はアルーシャ国立公園内にあり、登山中に野生動物たちが多く暮らすエリアを徒歩で通過することになります。(まさにウォーキングサファリ!)
そのため、登山の際にはライフル銃を持ったレンジャーさんに同行してもらわねばなりません。
どのような行程になるのかは、このジオラマでご紹介。(笑)

(1)モメラゲート(登山口)
(2)ミリアカンバハット(1泊目・3泊目)
(3)サドルハット(2泊目)
(4)リトルメルー(2日目に(3)よりピストン)
(5)メルー山頂上(ソーシャリストピーク)
アルーシャ市内から登山口となるモメラゲートまでは、車で移動します。
その登山口へ向かう車窓からも、アフリカの動物たちを沢山見ることができてしまいました!


猿(バブーン)、シマウマ、バッファロー、キリン等々・・・。予期せずサファリを楽しむことができてテンション急上昇!


それからモメラゲートで担当レンジャーさんと、一緒に行動するメンバー(欧米各国から1~2人で参加した方々数組)と合流して、いよいよ登山スタート。
初日は主に森の中を移動していきます。
早速見たことのない姿をした花や木の実などが次々と・・!!


また、野生動物と遭遇することも度々ありました。
登山道を猿が渡っていったり、すぐ脇の薮にキリンがいたり


登山中にキリンに会うなんて、日本ではとても考えられないことですね



アフリカの登山は驚きの連続です!!
花や動物だけでなく、森も本当に素晴らしかったです。
驚くほど大きくて迫力のある木々が生い茂っていましたよー


アフリカの山がこんなにも濃密な森に包まれているとは、思いもしませんでした。
しかし、参加者の皆さんの歩行ペースの速さと、思った以上の暑さにはまいりましたー


アフリカの気候は、「暑い」というより「熱い」と言った方が適切かもしれません。
太陽のパワーがとても強くて、開けた場所を歩いた時は特に、肌がじりじりと焼かれているかのようでした。
しかも、「今日の行程はずっとなだらかだよ」と聞いていたのですが、思ったよりも急な坂が続いたりもしたんです。
「このペースとこの暑さで、私はちゃんと歩き切れるのだろうか・・・?」とやや不安にもなりました

それでも、徐々に雲が出てきたことと、森が深くなってきたことなどもあり、次第に歩きやすい気温になってきました

そして、こんなに素敵なビューポイントでしばらく休憩。
少し霞んでいましたが、アフリカの大地を広く見渡すことができました


その後も、見たこともないような景色が次々と現れて、大いに感動させられました

これは、日本で言うとサルオガセの仲間でしょうか?森の中のほぼ全ての木から、とろろ昆布のような植物が沢山垂れ下がっていて、森全体がとても不思議な雰囲気に包まれていました。
日本でもこのような植物は見ますが、その量がすごいんですっ!!


そして、森を抜けると目の前には高く聳え立つ緑の壁がっ!!

ものすごい迫力です


上に雲がかかってしまいましたが、この絶壁の先にメルー山の頂上があるのでしょう。
この景色を見た時、ふと「ハワイのカウアイ島の景色に何となく似ているかも」と思いました。(行ったことがないのでイメージですが・・・苦笑)
もちろん、私たちはこの絶壁を直登するわけではなく(笑)、右手に回り込むように進んでいきます。
そして、本日の宿泊地、ミリアカンバハットに到着しましたー!


ここにはこのような小奇麗な建物がいくつもあり、宿泊棟、食堂などと分かれています。
案内されたのはキナバル登山の際に利用したラバンラタ小屋と同様に、2段ベッドが2つ置いてあるシンプルなお部屋。

ちなみに上のベッドの写真は翌日泊まったサドルハットのものですが、どちらの山小屋も構造はほとんど同じでした。
私たちは今回レンジャーさん以外に専属のガイドさんやポーターさんをつけていたので、小屋到着後のティーからディナーまで、スタッフさんにすべて用意して頂きました。
日本で登山するよりも遥かに贅沢をしているような・・・。もちろんその分のお礼は支払っているわけですが、とても申し訳なく、またありがたく感じました

ディナーを終えて部屋に戻る時、ふと見上げるとそこには満天の星空

わぁ、すごい・・・!!

こうして、私のメルー山登山最初の一日が終わりました。
【メルー山登山2日目】
ミリアカンバハット(標高約2,500m)→サドルハット(標高約3,500m)←→リトルメルー(標高約3,820m)
翌朝は6時に起床し、寝起きのお茶と朝食を済ませてから8時に山小屋前へ集合。
グループのメンバーさんの諸手続き等で少し待った後、8時45分頃にいよいよ本日の登山がスタートしました

本日の行程、歩き始めこそ緩やかな小道なのですが、その後階段が現れるとそこからはほぼずっと急坂が続きます

しかも!!
前日もそうだったのですが、登山道上に野生動物のフンが点々と落ちているんです!
野生動物と言ってもバッファローなどの大型動物ですから、そのフンもかなりの大きさでして・・・(苦笑)
踏まないようにかなり気を付けながら歩いていたのですが、この日は運悪く(運良く?笑)2回も踏んでしまいましたー!

なんだか牧場のような、動物園のような独特の香りにまとわりつかれながら、私は心の中で"落し物"の主にこう訴えるのでした。
「よりによって、登山道の真ん中にしなくてもいいじゃんかー!!(泣)」
(注)後の休憩タイムと水たまり通過時にしっかり掃除しました。。。
それでも、登山中にバッファローのフンを踏むなんて日本では考えられない貴重な経験ですよね(笑)
この日もやはり気温がぐんぐんと上がり、灼熱の太陽が頭上から照りつけてきました

半袖になったり、水をこまめに飲んだりと熱射病には気を付けながら登っていきます。
視界に映るのはやはり豊かな緑に包まれた山の姿。
サルオガセの仲間がびっしりと垂れ下がり、森の緑も日本で見るものとは雰囲気や色味が違っているように感じます。
暑いけど、こんなにも豊かで美しい森を見られるなんて・・・やっぱり登りに来て良かったなぁ


「あぁー、本当に美しいなぁ・・・。なんて美しい森なんだろう。」
私は何度もそうつぶやきながら登っていきました。
しかし、私たちの歩く登山道の上は森が開けていて、直射日光を浴びるところが多かったです

ううーん、暑ーいっ!!



でも、そんな登山道のすぐ脇には、南国らしいカラフルな花や鳥が姿を見せてくれました!

相変わらずペースが速いのであまりゆっくり写真は撮れませんでしたが、こんなキレイな花も見かけましたよー。

さらに、私に衝撃の出会いがありました!
先行していたメンバーさんたちが急に立ち止まったので、何かと思って行ってみると・・・
なんと、カメレオンさんが登山道を横断中ではありませんかっ!!


「キャー!!カワイイっ!!


私は登山道にはいつくばる勢いでカメラを構え、ミトンをしているような手足をゆらゆらと前後させながら登山道を渡っていくカメレオンさんをじっくりと観察しました(笑)
こうして数々の素敵な出会いを経て、午後にサドルハットへ到着!

今日はさすがにきつい登りが続いたので、小屋の建物が見えてきた時はグループのみんなで「やったー!」と拍手してしまいました

しかし、この日の行動は、小屋に着いて終わりではありません。
少し休んでから、近くにあるリトルメルーというピークへ高度順応を兼ねて登りに行くんです。
ちなみにリトルと付きますが3,820mと、富士山よりも標高の高い山だったりします(笑)
リトルメルー登山と明日のメルー山の登山については、グループ一緒の行動ではなく専属のガイドさんとサブガイドさんが付いてくれるとのこと。
この標高でグループの速いペースに付いていくのが不安だった私にとっては、とてもありがたいことでした。
12月のタンザニアはまだ小雨季が続いているようで、午後から夕方にかけて天気が崩れるパターンが多いようです。
この日も、リトルメルー出発前の休憩中に、ザザッと雨が降ってきてしまいましたー

しかし、リトルメルーへ出発する夕方頃には何とか雨も上がってくれたようです。
念のためにレインウェアの上下を羽織って、リトルメルーへ続く登山道を登り始めます!

サドルハットからリトルメルーまでは1時間ほどの道のり。
ミリアカンバハットからサドルハットまでの道に比べると緩やかで、ガイドさんもゆっくりペースで歩いてくれたため、かなり歩きやすさを感じました

富士山を超える標高ではありますが、今の所きちんと順応ができているようです。高山病の症状が出る気配はありません。
それでも油断しないよう、ゆっくり、呼吸を意識しながら登っていきました。
途中でこんな植物にも遭遇!これはロベリアと言う植物で、キリマンジャロでも見られるとのことでした。
メルー山とキリマンジャロの間でも、植生などに違いがあるのかな?そういうモノも楽しみになりました


そして、リトルメルーの頂上に到着

頂上直下はやや岩場が険しくなりましたが、全体的に歩きやすいコースでした。

ここで少しの間、高所順応を兼ねて休憩します。
しばらく待っていると辺りの雲が流れて、明日登る予定のメルー山頂上(ソーシャリストピーク)方面が見えてきましたー!



あぁ、なんと美しい、そして険しい山なんだろう。私は本当に登れるのかな!?
ちなみに、左下に見えている建物群がサドルハットです。結構登ってきたんだね。
結局すっきりと晴れることはありませんでしたが、私たちはメルー山の景色を十分に堪能してリトルメルーを後にしました。
濡れた岩場や登山道のスリップに気を付けながら、慎重に下ってサドルハットへ戻ります。
さぁ、いよいよ明日は登頂日。日付が変わる頃には起きなければなりません。
私たちは登頂に必要なウェアや装備をよく確認してから、早めにベッドに入りました。
【次回へ続く】
2013/14年末年始 アフリカ・タンザニア登山遠征(2)【メルー山・後編】
アフリカ・タンザニア登山遠征、(1)【メルー山・前編】の続きです。
【メルー山登山3日目】
サドルハット(標高約3,500m)→ソーシャリストピーク(標高約4,566m)→サドルハット→ミリアカンバハット(標高約2,500m)
いよいよ本日はメルー山登頂日!
深夜0時に起床した私は、食堂で軽い食事をとりました

この日泊まっていたサドルハットは標高約3,500mだったのですが、ぐっすりと眠れたため体調も良好

準備を整えた私は、小屋を出て真っ暗な登山道へと足を踏み出しました。
ここからしばらくは本当に真っ暗だったため、写真はほとんど撮れていません(苦笑)
自分の目でも、ヘッドライトに照らされた範囲の登山道しか見ることができず、辺りがどのような雰囲気になっているのかよく分かりませんでした

ただ、登り始めはなだらかな道で、その先からは結構急な登りが続いていたこと、
そして、登山道は滑りやすい砂礫の道だったり、まるで砂漠のような細かい砂の道だったり、時にはとても険しい岩場のトラバースだったりと変化があったことは分かりました。
サラサラの砂の道を歩いている時は、まるで新雪の山を歩いているかのような気分でした。
また、岩場は「本当にここが登山道?」と思うほど険しく、鎖などもないので真っ暗な中で登るのはちょっと怖かったです

途中でフラッシュを焚いて撮ってみた1枚。前を行くのはガイドさんです。
本当に険しいところではカメラも出せなかったので、ここはそれほど険しくない場所だったということですねー(苦笑)

気温はかなり低いようですが、ずっと登り続けているので身体はかなり温まっています。
むしろ冬山の装備では暑くなってきて、アウター&ミドルのチャックを大きく開けなければならないほどでした

「ライノポイント」と呼ばれる開けた広場状の場所まで登り切ると、闇の中に幻想的な景色が浮かび上がります


頭上には無数に輝く星たち、足下には一面の雲海。そしてこれから目指す先には黒々とした険しい山のシルエットが見えていました。
しばらく立ち止まって、白い息を吐きながら辺りをただただ見渡します。
言葉にできないほどの、美しさと厳しさの同居した世界がそこにありました

事前にガイドさんから聞いていた通り、ここから先は特にアップダウンが繰り返されるハードな道のりになります。
日の出が近づいてきて徐々に明るくなってきたため、前方にピークらしきモノが見えてくるのですが、それはソーシャリストピークではありません

「あれが山頂に見えるけど・・・違うんだよね?」と私。
「そうだね。本当の山頂はまだ先だよー。」とガイドさん。
そんなやりとりが何度か繰り返されました(苦笑)
この辺りは稜線なので、風も強くなってきました。
大きな岩場が風上にある時はいいのですが、それを抜けると一気に冷たい風が吹き付けてきます

私はまたウェアのチャックを引き上げると、どんどん明るいオレンジ色に染まっていく東の空をチラチラと見ながら進んでいきました。
そして、そろそろ日の出だというタイミングでガイドさんにタイムを要請!!

ザックを下ろして、近くの岩に腰を下ろしました。
この時私の目の前に広がっていた景色は、想像を絶するほどに神々しいものでした


広い、広い、本当に広い。こんなにも広く続いているのかと思うほどの広大な大地。
その向こうに信じられないほど雄大な裾野を伸ばして聳えているのは、あのキリマンジャロです

登山前の移動中にも、初日から2日目までの登山中にも、時々キリマンジャロの姿は見ることができていました。
それでも、雲を被っていたり、少し霞んでいたりして、ここまではっきりと向かい合えたのはこれが初めてのこと

あまりにも大きなその山のシルエットを前にして、自分が数日後にはあの上を歩いているのだ、なんていうことがまるで信じられないような、おこがましいような・・・そんな気持ちになりました。
日の出が近づいて、刻一刻と色を変えていく空の様子をずっと見届けていたかったのですが、「凍えてしまうから」とガイドさんに促されて、私は重い腰を上げました。
するとその直後に、雲の上から明るい太陽の光が!!

アフリカで見る、初めてのご来光です。やったー!!



太陽の温度を頬に感じ、辺りの雄大な景色に背中を押されて、私の足にも力がみなぎってくるようでした。
後は山頂を目指すばかり。よーし、頑張るぞー!!

こうしてさらに進んでいくと、西側にもこんなに素敵な景色があることに気付きました。
「あっ、影メルーだぁ!!



メルーの整った山容がよく分かりますねー☆
こんな風に景色を眺めたりしながらゆっくりと登っていったので、この日登頂を目指した登山者さんたちの中でも私たちは最後尾に近いところを歩いていました(苦笑)
この頃になると先に登頂した方々が、次々下ってくるようになりました。
すれ違いざまに、登山者さんや現地のガイドさんたちと、
「登頂おめでとう!

「頑張って!もうちょっとよ!」
「山頂は景色が素晴らしかったよ!

などと声を掛け合ったり、ハイタッチをしたりしました。
人見知りなこの私でも、初対面の、しかも様々な国籍の方々とまるで古くからの友人のように自然に笑顔を見せあえる・・・。山って本当に素晴らしいなって思います

さぁ、私も山頂からの景色を見に行こう!

そして、
「山頂はもうすぐそこだよ!

というガイドさんの声に、少しホッとした気持ちで彼の指さす方を見上げた私。
・・・・・・ですが・・・・・・

もんんんのすごいゴッツゴツな岩場(しかもかなりの急斜面)のてっぺんに、小さくタンザニアの旗が見えて、いる、ような・・・?


「『すぐそこ』じゃないでしょ、あれはっ!!(爆)」
ここもほぼ直登のような感じだったので、両手も使いながら必死で登りました

しかもすでに標高は約4,500m。ゼーゼーハーハーを通り越して、肺が裏返しになって口から飛び出すんじゃないかと思いました(苦笑)
こうして下りてくる方々に励まされながら、必死の思いで岩場をよじ登っていった私。
なんとか最後の岩場を登り切って・・・

メルー山、登頂ですっ!!


やったああぁぁぁーっ!!


「やったねー!おめでとうっ!!

同行してくれたガイドさんやサブガイドさんとハグをして登頂の喜びを分かち合った後、私は辺りの景色を眺めました。
山頂の東側は、まさに絶壁。初日に見上げたあの壁を、今は上から見下ろしているんですねー


そして、ここからも大きなキリマンジャロの姿を望むことができました。
左下に見える美しい円形をした火口はアッシュコーンです


ここで、ガイドさんが冷たいジュースとおやつを渡してくれました。
4,566mの頂で飲む冷え冷えのマンゴージュース、最高!!


でもこっちのチョコレートは、歯に沁みるほど甘いっ!!(苦笑)
こうして山頂で至福の時を過ごした私たちは、来た道を引き返し始めました。
登りの時は暗くてよく分からなかったのですが、下りの方がはるかに危険な行程になりました。
これは岩場で何とか撮れた1枚。なかなかハードです


険しい箇所を除いては、先行するガイドさんがかなりのハイペースでどんどん下っていきました

砂地の登山道では砂埃が舞い上がって、サングラスの隙間から目に飛び込んできます。
油断していると口の中もジャリジャリに


それにしても、よくこんな所を登ってきたなぁ、と思うほど険しい道です。
向こうにキリマンジャロを見ながら、ひたすら下っていきます。
途中で見かけたスマイリー


こうして一気にライノポイントまで下ってきたところで、ガイドさんに休憩を要請しました。
日も昇ったので、辺りはすっかり昨日までと同じ灼熱の道に変わっていました。暑いーっ


そしてここから、メルー山の頂上方向を振り返ります。
自分がついさっきまであのてっぺんにいたことが信じられないほど、険しい山の姿です。

道の様子や植生などは違っていますが、メルー山は日本で言うと穂高連峰や剱岳のイメージだなと感じました。
「キリマンジャロ登山前の高度順応のため」という目的で登られることも多いようですが、それだけではない魅力に富んだ山でした


さあ、サドルハットへ!!

ここからも危険個所以外はかなりのハイペースで下ります。
今日はすでに10時間くらい歩いていて、かなり足も疲れていたのですが、何とか頑張ってサドルハットに到着ー!!
・・・が!今日は初日に宿泊したミリアカンバハットまで下らなければなりません

結構急坂が多かったし、今の足の疲労状態だと厳しいなぁ・・・と思っていたのですが、少し眠ってランチをとって・・・と3時間くらい身体を休めることができたためか、再出発の頃には自分でも驚くほどに疲労が回復していました!

というわけで、ミリアカンバハットまではとにかく動物のフンを踏まないよう最大限の注意を払って一気に下りました(苦笑)
小屋について一休みし、待ちに待ったディナータイム!


これはほんの一部ですが、毎食スープからデザートまで、まるでレストランのような食事を用意して頂けました。
そのどれもが本当に美味しくてびっくりです!「辛い物が苦手」と最初に伝えていたので、味付けにも気を遣って頂きました。

山に食材を担ぎ上げて、限られた器具で調理をするのはとても大変なことです。
本来であれば自分たちで全て担ぎ上げなければならない荷物も、私はスタッフさんに運んでもらっているわけです。
これは当たり前のことではない。私は登っているのではなく、色々な方々に登らせて頂いているんだ。
そう感謝の思いを新たにしました

【メルー山登山4日目】
ミリアカンバハット(標高約2,500m)→モメラゲート(標高約1,500m)
いよいよメルー山登山最終日の朝。小屋の外に出ると、これまでの3日間とは空の様子がずいぶんと違っていました。
ひつじ雲というのでしょうか、無数の雲の塊が空一面を覆いつくし、風もかなり強く吹いています


「君たちは運が良かったね。今日登頂を目指していたら大変だったよ。」
「私が今山頂にいたら、空飛んでたかも!」
なんてガイドさんやメンバーさんと話しながら、8時過ぎ頃に下山を開始しました。
この日は初日に使ったコースではなく、ショートカットコースでモメラゲートを目指します。
こちらのコースは動物も沢山見られるのだとか。そちらも楽しみ

ショートカットというので距離が短いだけでなく歩きやすい道をイメージしていましたが、意外にもぬかるみやフンのトラップがある細ーい道や、道無き草原を突っ切るようなところもありました。
また、流れ出した溶岩がそのまま冷え固まったような岩場もあり、結構歩きにくかったです

それでも、やはりこの森は素晴らしい!!うっとりしながら進みます



やがて開けた場所に出たので、いったん休憩。
その後も、目の前にキリマンジャロ、眼下の草原に野生動物たちの群れを眺めながら下っていきました。
とっても気持ちがいいなぁ!

バッファローたちもこの陽気の中で、ゴロゴロお昼寝をして気持ちよさそうです




「あぁ、でも彼らのフンを2度も踏んでしまったのだな」とふと思い出したりして・・・(苦笑)
最後は草原まで下りてきて、向こうに野生動物たちを見ながらゲートへと向かいます。
最後に振り返って、メルー山に別れを告げました。
ありがとう、メルー山!!



こうして、無事にモメラゲートに到着ー!!


ここでランチを食べて、登頂証明書なるものを頂いてから、再び車で町へと戻ったのでした。
メルー山登山はこれにておしまい!

初めてのアフリカで、初めて登らせて頂いた山、メルー山。
キリマンジャロに比べると標高も知名度も低く、登山者の数も少ないようですが、実際に登ってみて本当に素晴らしい山だと感じました!

登山中にアフリカならではの野生動物に多数出会えること、かなり上の方まで美しく豊かな森の景色を楽しめること、
そしてガイドさんが「キリマンジャロよりハードだよ」と言うほどの北アルプス的岩稜歩きができること等々・・・。本当に登りごたえがあり、魅力いっぱいの山でした

また、今回の登山ではスタッフさんの真摯な働きぶりを目の当たりにし、とても感動するとともに心からの感謝の気持ちが湧きました。
本当にありがとうございます

そして、アメリカ、ヨーロッパ、ロシア等々、実に様々な国の方々と色々な交流が持てたことも、良い思い出になりました。
メルー山登山、本当に楽しかったぁー!!



さぁ、次はキリマンジャロ登山です!
【次回へ続く】