2010.04般若山~釜ノ沢五峰(小鹿野アルプス)登山(1)【般若山編】


その山の名前は、記憶の片隅にありました。
1年近く前、「岩場」「鎖場」「縦走」をキーワードに東京近郊の低山を調べていた時に見つけた写真たち。
そこには大きな一枚岩でできた崖の先端に観音様が立っていたり、巨大な卵みたいな岩の真ん中を人が玉乗りのように歩いていたり・・・とにかく異様ともいえる光景が写っていたんです。
「うわぁっ、なにこれ!?どういう山なの?」
私はその時強烈に惹かれるものを感じたのですが、「地元の方が個人で登山ルートを整備した」という情報を見て、「もしかしたら一般人は入れない山なのかもしれない」と勝手な思い込みから、その山の名前を記憶の奥にしまいこんだのでした。
そして今になって、懲りずに同じキーワードで東京近郊の低山を調べていた私(笑)
再びヒットしたその山の情報を見て、「・・・あれっ!?この山、知ってる!」
二度も同じ山を調べるなんて、もうこれは・・・行くしかないでしょ

こうして私は詳細な情報を集めて、その山・・・般若山と釜ノ沢五峰の縦走登山に出かけたのでした~

今回は法性寺の駐車場に車を停め、般若山と釜ノ沢五峰をぐるーっと周遊して林道経由で戻ってくるコース。
私たちはまず、古めかしくてとても趣のある法性寺の山門をくぐります。

すると境内にこんな怖いお面がっ


でも、こんなにかわいらしい看板に和んだりもして


さらに奥へ進むと、石の階段が現れました。
神社の石段っていうと、例えば石割山に登った時のような、それ自体がまるで修行のような苦しいものを想像するけれど、ここは全然違っていました。
緩やかにうねりながら、苔むした大岩の合間を抜けていく・・・それはそれは雰囲気がいいの



「こんなに素敵な石段だったら、何段でも登っちゃうよね~♪」
同行の友達とそんなことを言いながら登っていきます。
そして石段を登り終えると、今度は右手に大きな岩の壁が見えてきました~!
わぁー、すごい迫力・・・・・・って、アレッ!?
岩の壁に、変な形の穴が空いてるーっ!!



それは大の字の人型というか、なんというか・・・。とにかく自然の造形とは思えない、不思議な形の穴でした。
その穴の口から鎖が垂れ下がっていたので、よじ登って穴の中へと入ってみます。
穴の奥は浅くて、内壁にはボコボコと無数の穴が空いていました。なんだか異様な雰囲気・・・。
これは、穴の中から外を見た写真。すごく不思議な形をしてるでしょ?

私たちは穴から出て鎖を下りると、再び先へと足を進めました。
辺りには苔やシダ植物の姿も目立ちます。柔らかな緑がとっても目に優しいんです


そして再び階段が・・・。
でもこれ、自然の一枚岩を階段状に加工してあるみたい。うーん、あんまりこういう階段は見たことないよ・・・!?と、なんだか新鮮な気分で登っていきました。

だけど、この階段が思ったより長く続いて、早速息を切らします・・・

そしてなんとか登りきると、目の前には覆いかぶさるように迫ってくる岩壁と、その足元に雨宿りをするように立ち並ぶ石像さん(お地蔵様?)たちの姿がありました!

上の写真で、石像さんたちの背後の岩がまるで蜂の巣のように穴だらけなのが見えるかなぁ?さっきの不思議な形の穴の中もこんな風になっていたんです。
なんだろう、ここは。すごい、すごく面白いっ!


私はこの先に待っているものが楽しみで楽しみで、ワクワクしながらどんどん進んでいきました。
すると・・・
やっぱりこの山は、期待を裏切りません!
ど―――んっ!!

それは瑞牆山の山頂を思わせるような、大きく滑らかな一枚岩。
そしてその先端には、観音様が立っていたんです!
こちらの観音様、この巨大な一枚岩を船に見立てて、「お船観音」って呼ばれているんだって。
私は岩場を伝って、お船観音の前まで歩み寄りました。
でもこの観音様、崖の先端から前方の景色を見てるんじゃなくて、こっちを見てるわけでもなくて、横を向いて立っているんだよね。
観音様の向くべき方角っていうのが決まっているのかもしれないけど、その時私はふとこんなことに気付きました。
これ、偶然なのかもしれないけど・・・
観音様は、武甲山を見てる。

そう思った時、私は全身に鳥肌が立つのを感じました。
長い年月の中で、どんどん姿を変えていく武甲山のその姿を、観音様はどんな思いで見つめているんだろう。
観音様がもし今口を開くとしたら、どんなことを言うのかな。
観音様、どうか武甲山のこと、これからも見守っていて下さい

私はそうお願いをすると、高所のあまり得意ではない友達に
「それ以上先は無理だから!」
などと怒られながら先を目指すのでした~


【次回へ続く】
- ▼関連ワード
- 小野
2010.04般若山~釜ノ沢五峰(小鹿野アルプス)登山(2)【般若山編】
お船観音の立つ大きな一枚岩を後にして、先へと進む私たち。

するとすぐに、なかなか迫力のある鎖場が現れました~!

でもよく見て。なんと、岩壁にはしっかりとした足場が切られているではありませんか

お陰で見た目よりも楽に登ることができました。
そこから私はもう一段の鎖を登って、崖の中腹をえぐるようにして作られたテラスに上がりました。
人が2人も立てば一杯になってしまいそうなほど狭いその場所に、どっしりと腰を据えているのは大日如来像。
「ええっ!こんなところに!?」と思うようなロケーションです!

先ほどのお船観音と同様、こちらの大日如来像も素晴らしい眺めの中にいます。

大日如来さんは、毎日こんなに素敵な景色を楽しみながら座っていらっしゃるんだね

そんなことを思いながらふと自分の登ってきた崖の下を覗き込むと・・・うん、なかなかの高度感


この大日如来像は、登山コース上からちょっと外れて見に行く形になるので、高所恐怖の方などはここへ登らずともちゃんと先へ進むことができます。どうぞご安心下さい

今回同行の友人も、あんまり高いところは得意ではないようだったので、下で待っていてくれました。
私は鎖を下りて友達と合流すると、さらに先を目指して歩き始めます。
するとすぐにまた見晴らしのいい岩場が見えてきました!先の方へ出れる道もできていたので、そこからもう一度景色を楽しむことにしました~

・・・って、友達はやっぱりついてきてくれなかったので、撮影を頼んだらこういうことになりまして

「向こうの山に、珍獣発見!」というキャプションを付けたくなるような写真です(苦笑)

ここからも山々を広く見渡すことができました。とっても爽快♪
小鹿野町2級基準点も設置されていましたよ~。

そして、ここからはまた林の中の土の道に戻ります。

大日如来像を過ぎた辺りから下山場所の長若山荘までの道のり全体に言えることなのですが、やはり整備が十分というわけにはいかないのか、少し道が荒れている印象でした。さらに、前日に雨が降っていたとみえて、かなりぬかるんでいて歩きづらかったです

ハシゴも結構揺れて、ドキドキ・・・


ぬかるんだ急坂は、立っているだけでもずるずるーっと滑ってきちゃって、スキー状態になることもありました


うーん、思った以上に体力を消耗するなぁ・・・。
そして、精神力も消耗しそうな光景にも遭遇しました


この木・・・鹿に皮をはがされたのかな?と思って良く見ると、なんだかごっつい爪跡ついていませんか・・・?
まさか・・・これって、「あのお方」の仕業なのかしら・・・

気を取り直して足元(と、クマ)に気をつけながら先へ進んでいく私たち。
途中、「亀ヶ岳展望台」に寄り道しました。この「亀ヶ岳」、山頂から中腹にかけてはつるっとした大岩でできていて、まるでスキーのジャンプ台みたいなの。あれって登れるのかなぁ?登れたらかなり面白そう!

こうして、歩きにくい道に苦労しながらも何とか里まで下りてくることができました~


般若山の登山はこれにて終了。私たちはこの後、釜ノ沢五峰を周回する予定です!
こちらの山も、かなり面白そうなんだよね♪
・・・あれっ、そういえば私たち、「般若山」の山頂って通ったんだっけ?(笑)
(※どうやら山頂の案内などはない山のようですね・・・

【次回へ続く】
- ▼関連ワード
- 小野町