2015.02高尾山登山

ルート詳細はコチラ
■今回のコースと所要時間
所要時間合計(休憩等込み):約3時間45分
(行動時間)
高尾山口駅(トイレあり)―【約5分】→稲荷山コース入口―【約40分】→展望台(トイレ閉鎖中)―【約40分】→高尾山頂上(トイレあり)―【1号路経由(途中トイレあり):約1時間5分】→1号路入口―【約5分】→高尾山口駅
■参考マップ
山と高原地図 27 高尾・陣馬
エクアドル登山旅行からの帰国後、最初にお邪魔した日本の山は、ご存じ高尾山でしたー!
遠い異国の標高4,000~5,000m台という高山へ登ってきた反動か、無性に「東京近郊の低山に登りたい!」と思ったんですよね

今回は稲荷山コースから山頂へ。
工事中の高尾山口駅からトコトコ歩いて、登山口までやってきました。

ちょうど1年前の2月にも稲荷山コースを登りましたが、その時は大雪だったんですよねー。
今回のこの景色の方が通常モードではありますが・・・1年前の記事と見比べると、随分と雰囲気が違っていますね。
さぁ、それでは登山スタート!
路面は少し湿っていましたが、ぬかるみや雪などはありませんでした。
その代わり、部分的に霜柱が立っていて、やや凍結気味なところもありました。
出だしからなかなか傾斜のある坂を登っていきますが、まだ身体が高所仕様で、3シーズン登山靴なので足取りはとても軽いです。
お稲荷さんを越えて、さらに森の中を登っていきました。

この時期でも思った以上に緑は多く、登山道には枝葉の合間から眩しい光が降り注いでいました。
それは、何の変哲もない日本の低山の風景かもしれませんが、私はこの景色にとても感動していました。
あぁ、やっぱり日本の低山はいいなぁ。心がとっても落ち着くなぁ

なんだろう、それは久しぶりに実家に帰ってきた時のような感覚です(笑)
これまで何度もお邪魔している高尾山ですが、こんなにも心安らぐ素敵な場所なんだということを再認識しました。
もちろん、歩きやすいなだらかな場所だけではなく、木の根が張り出しているところや、こんな階段もあったりします。
私は一歩一歩、足運びを確認しながら、低山歩きの楽しさを噛みしめて登っていきました。

そして、途中にある展望台に到着!
ここでは何人もの登山者さんたちが休憩をされていました。

今日の見晴らしは・・・うん、少し霞んでいるけど、良好、良好!
こういう景色が見られるのも、低山のいいところだよねぇ


さぁ、先へ進みましょう!
背の高い木々に囲まれた登山道の足下には、光と影が複雑な模様を描き出しています。
何度も言いますが・・・本当に、素敵な道だなぁ。心が落ち着くなぁ


私は歩きながら、「落ち着くなぁ、いい山だなぁ」と何度も声に出していました。(笑)
と、登山口から2.4km程過ぎた辺りから、路面に雪が出始めましたー!

積雪量は少なく、泥と混ざってまだら状態ですが、これが結構滑りやすいんですよね・・・注意して進みます。

少し進むと雪はすぐに消えましたが、その代わりに道がかなりぬかるんできましたー!
昨年12月にお邪魔した丹沢表尾根の帰りがものすごいぬかるみ地獄だったのですが、それに比べたらまだマシかなという感じ。
・・・しかし、そのぬかるみもだんだんひどくなってきて、ついにヌッタヌタの田んぼ状態になってしまいました

靴にベタベタの泥がどんどんくっ付いてきて、泥団子状態に(苦笑)
これが雪だったら簡単に落とせるところですが、泥はそうもいきません。靴の重量が倍ぐらいになっているような・・・

さらには、泥がヌルヌルになっていて、足を置くとチュルンと滑るところも(苦笑)
足の置き場所に気を遣いながら、かなりヒーヒーで登っていきました


こうしてなんとか、最後の長い階段の前までやってきた私たち。
ちょうど団体さんが登っていらっしゃったので、少し立ち休憩をして時間を調整してから、この階段を一気に登っていきました。

そして、無事に山頂に到着ー!!

早速大きな富士山が私たちを出迎えてくれましたー!!


すごーいっ!真っ白だねぇー。

高尾山口駅と同様に、山頂もビジターセンター周辺が工事中でした。
そして、新しくこんなに立派な山頂標柱もできていましたー!

周辺は既に大勢の人たちで賑わっていました。私たちも広場の端のスペースを見つけて腰を下ろします。
今回は久しぶりののんびりハイキングなので、ちょっと凝ったデザートを作ってみることにしました

これが材料(の一部)です。

スキムミルクをお湯で溶かし、粉ゼラチンと砂糖、黒ゴマきな粉を混ぜてカップに移します。
それから、私の座っている場所のすぐ脇にタイミングよく残雪があったので、そこに置いてしばらく冷やします。

待ち時間には、温かい飲み物や軽食をつまみながら、目の前に広がる素敵な景色をお楽しみ下さい(笑)

そしてゼラチンが固まったら、上からフルーツグラノーラをまぶして・・・
黒ゴマきなこプリンの出来上がりー!



砂糖をもう少し多くするか、上から黒蜜などをかけるともっと美味しいかも?と改善点はありましたが、十分美味しく頂きました

しかし・・・
実は、登頂した瞬間に、城山方面にだけ少し黒っぽい雲がかかっているのが気になっていたのですが、実はそれは雪雲でした(苦笑)
プリンの出来上がりを待っている間にも、何度か頭上に雪雲がやってきて、パラパラと雪が降ったりやんだりの天気になってしまいました


なんだろう、私・・・。最近雨女から雪女に昇格したのかしら?(苦笑)
というわけで、私たちはプリンを食べ終わると、手早く片づけをして下山を始めることにしました!
ぬかるみ道を避けたかったので、1号路を使うことに。
下り始めは予想外に残雪があり、かなり踏み固められてツルツルになっていたので注意が必要でした


やがて雪はなくなり、普通の舗装道路に戻りました。
私たちは順調に下って行き、薬王院を通過。その先で男坂と女坂の分岐があり、普段は特に何も考えずに女坂で下っていた気がしますが、今回は試しに男坂で下ることにしました。
すると・・・途中にこんな面白いものが!

「苦」という文字の口の部分がぽっかりと空いていて、人が通れるようになっているんです。
その名も「苦抜け門」。わぁあ、これは面白ーいっ!!


高尾山には何度も通っていますが、まだまだ知らないことが沢山ありますねぇー。
その先には男坂というだけあって、やや長めの階段がありました。登ってくる方々はちょっと大変そう。
そこからはひたすら舗装道路を下り、無事に1号路の入口まで戻ってくることができましたー!
駅前に靴洗い用の水道があったので、登山靴を洗わせて頂きました。ありがたやー

そして、荷物を片付けて、登山終了ー!と言いたいところですが、そこからまた少しケーブルカー駅の方まで戻りまして・・・
高尾山名物、お蕎麦を頂きましたー!


自然薯のお蕎麦、とっても美味しかったです


こうして、いつも以上に高尾山の良さをしっかりと味わいながら、楽しく歩いてくることができました。
海外の山へお邪魔すると、日本では見ることのできないような景色や雰囲気に感動したり、圧倒されることも多いです。
でも、それだけでなく、日本の山の良さにも改めて気づかされたりもします

やっぱり日本とか海外とか関係なく、標高が高いとか低いとかも関係なく、山はそれぞれに素晴らしい魅力があって、どの山登りもやっぱり楽しいなぁと思いました。
これからも高尾山には度々お邪魔すると思います。もっともっと、私の知らない高尾山を見つけてみようっと

【終わり】
2015.02【エクアドル登山旅行】チンボラソ登山(登頂なし)
【2015.02エクアドル登山旅行】山行一覧
◆ピチンチャ登山
◆コトパクシ登山
◆チンボラソ登山
※エクアドル登山旅行の報告記事はこちら
今年最初の登山旅行は、南米・エクアドルへ!

※ルートラボだと周辺の詳細地図が無いようです

ルートマップページはコチラ
■今回のコースと所要時間
所要時間合計(休憩等込み):約5時間5分
(行動時間)
カレル小屋駐車場(標高約4,780m、トイレあり)―【約1時間25分】→クランポンポイント―【約2時間25分】→最高地点(引き返した地点)(標高5,200m位?)―【約1時間15分】→カレル小屋駐車場
※全体的に時間が不正確なところもあります。また、細かい休憩時間なども含まれてしまっています。
コトパクシ登山の次は、いよいよエクアドル最高峰のチンボラソへ。
チンボラソの標高は6,310m。もし登頂できれば、初めて6,000mを超える場所に立つことになります

チンボラソ登山の際には、前日に標高約5,000mのところにあるウィンパー小屋まで上がって宿泊するのが一般的なようですが、コトパクシと同様に、こちらも改修工事が長引いているため宿泊不可でしたー

そこで今回も前日は麓の宿に泊まり、当日に標高約4,780mの駐車場まで車で移動してから登り始めることになりました。
登山前日に麓の宿へと移動する途中、車窓からはこんな景色が。
畑かな?牧草地かな?まるでパッチワークみたいに広がっていて、とっても独特な雰囲気ですねー


チンボラソへ近づくと、果てしなく広がる荒野のような景色の中に、突如動物の群れが現れました


これはビクーニャと言って、リャマやアルパカの仲間だそうです。
こんなに近くで沢山見られるなんて、とっても感激!


しかし・・・肝心のチンボラソは、そのほとんどが雲の中でした


それでも、時々雲の間から覗く山の姿には、ものすごいオーラがあって圧倒されました。
それは黒々とした岩と白い氷河によって描かれた、モノクロの世界の光景のようでした。
そして、無事に麓の宿へと到着したのですが・・・
なんと、突然雷が鳴り始め、ヒョウも降ってきてしまいましたー

その模様を動画でどうぞ・・・。氷の粒たちは楽しそうにダンスをしていますが、それを見つめる私はすっかり青ざめていたのです


私は窓からずっと外を眺めながら、雲に隠れて見えない山のことを考えていました。
コトパクシと同じように、チンボラソも天気が悪くて登ることができなくなってしまうのかなぁ・・・

山の上の状況は行ってみないと分からないとのことで、ひとまず明日の行程を確認してから食事をとり、その後出発まで部屋で仮眠をとることに。
そのうちに雨はやみ、美しい夕焼けが広がり始めました。
ふと気付けば、夕日に照らされてオレンジ色に輝く、チンボラソの姿が・・・!!



それは息を呑むほど美しく、神々しい光景でした。
岩と雪の描き出す複雑な模様は、まさに自然の創り出す芸術作品。
さらに、その手前にはなんと、二本の虹も現れたのです!!


どうかこれが、幸運のしるしでありますように・・・。
私は祈るような気持ちで、ベッドへと入ったのでした。
※ここからは写真がほとんどありません。当日書いた日記を再構成してアップします。
短時間の仮眠の後、軽いシリアルの朝食を取って宿を出発。
駐車場へ向かう道は真っ暗で、辺りの雰囲気はあまりよく分かりませんでした。
ただ、遠くの空に浮かぶ雲が、時々不気味にピカピカと光っているのが見えました。
「ストームだ」
ハンドルを握るガイドさんの言葉に、「どうか、こちらに流れてきませんように・・・」と祈りながら空を眺めました。
駐車場に着いて車を降りると、辺りは風もなく実に穏やかで、「暖かい」とさえ感じられるほどでした。
良い方向に予想が外れたことで、驚きと共に期待感も湧いてきました!

準備を済ませたら、いよいよ出発。
はじめのうちはなだらかで、雪はあるものの歩きやすい道を進んでいきます。
私たちのほかには誰もおらず、辺りは静けさに包まれていました。
私はただ、雪を踏みしめる音と時々響くピッケルの金属音、そして自分の呼吸の音だけを聞きながら歩いていました。
コトパクシ登山で高度順応が進んだことと、この日のガイドさんのペースがちょうど良かったことから、脈も呼吸もとても安定していました。
やがて標高は5,000mを超えましたが、頭の中は実に冴えわたっていて、身体中の細胞ひとつひとつに力がみなぎっているようにさえ感じられました。
私たちがこれから向かう稜線を見上げると、実際の距離よりも何だか短く感じられるようでした。
それほどまでに、この日は調子が良かったんです。
ウィンパー小屋を過ぎてしばらく進んでいくと、だんだん傾斜がきつくなってきました。
そして、岩と雪の混ざった道を黙々と登っていくと、斜度がさらに増しました。
私たちは、ここでアイゼンを装着します。
天気が穏やかだったことと、ガイドさんの配慮もあって、コトパクシの時とは違い、こまめに水分や栄養補給もできていました。
アイゼン装着時には、アミノバイタルゴールドもばっちりチャージしました

やがてちらほらと小雪が舞い始めましたが、相変わらず風はほとんどありませんでした。
前回のコトパクシでは、強い風を受けながらの登山がどれだけ体力を消耗するのかを思い知らされたので、これは本当にありがたいことでした。
天気さえこのまま持ってくれれば、今日は登れるかもしれない!

私は急坂やトラバースも数種類の足運びを使い分けて、体力のロスを最小限にしながら順調に高度を稼いでいきました。

・・・ところが。
状況は、私の望まない方向に急変しました。
足下の雪の状況ががらりと変わり、柔らかな新雪が斜面を覆うようになったのです。
先行するガイドさんが足を踏み出すと、周囲の雪面に亀裂が走り、柔らかな雪がその下に隠れていた脆い砂と共に、ざらざらと崩れ落ちていきました。
雪の状態が悪い・・・。
それからはヘッドライトで上方を照らし、ルートを探りながら進んでいきました。
いったんノーマルルートを外して右手にトラバースするなど、手を尽くしましたが・・・じきに、その足も止まることになりました。
そして・・・私たちはついに、ひとつの決断に至りました。
「もう、これ以上登ることはできない」
天気は悪くなかったけど、自分自身のコンディションもとても良かったけど・・・山とはそういうもの。何より生きて帰ることが大切なんだ。
だから、この判断は正しかったと思います。
それでも・・・この決断をしてから下山を始めるまでに、ほんの少しだけ、ガイドさんから時間をもらいました。
1分だけ涙をボロボロ流して大泣きして、その後笑って記念撮影をして、気持ちの整理をつけました。
ピークハントが第一の目的ではないので、これまで山に登れなくて泣いたことなんてありませんでした。
でもこの時は、こんなにも威厳に満ちあふれ、神々しいほど美しいこの山に、自分の持てる全てで向き合えなかったこと、
そして、夜が明ける前に下山してしまうことで、この山の上にしかない世界の光景を見ることができなくなったこと、
それがとても残念でした。
・・・さぁ、気持ちは切り替わった!下山開始!

崩れやすい雪と砂の斜面は、下りもとても危険でした。気を付けて足を運んでいきます。

雪の状態が落ち着き、傾斜も緩んできた頃にアイゼンを外します。
だいぶ歩きやすくなって気持ちに少し余裕が出てくると、頭の中に色々なことが思い浮かびました。
前日宿泊した宿で、
「あなたたちの超ウルトラスーパー幸運を祈ってる!登山楽しんで!


と声を掛けてくれた、地元のお姉さんの笑顔。
「あなたたちに会えて良かったですよ。グッドラック!

と握手してくれた、地元のベテラン登山家さんの温かい手。
それから下山まで、そして車で麓の宿に戻るまで、よせばいいのにそんなことを何度も思い出しては、メソメソしてしまいました(苦笑)
本来の予定よりも遥かに早く、まだ暗いうちに宿まで戻ると、言いようのない脱力感に襲われました。
冷え切った身体をシャワーで温めて、ベッドに沈みます。
ほとんど寝ていないというのに寝付くことはできず、朝を迎えるまでぼんやりと過ごしました。
すっかり辺りが明るくなってから、ようやく動き出して宿の食堂に顔を出すと、
「どうだった?」
と、スタッフさんや宿のお客さんたちから声を掛けられるので、何度も同じ説明をすることになりました(苦笑)
そして、
「そうだったの・・・。うん、でもまた来ればいいわよ!

「悲しむ必要はないよ。山ってさ、登れる時は登れるし、登れない時は登れないものだよね

そんな優しい励ましに、心が救われました

これで良かったんだ。生きて帰ってこれたからこそ、今私はここにいるし、また山に行けるんだ。
そう、しみじみと感じました。
今回の登山直前、「山があまりにも大きくて緊張する」とこぼす私に、ガイドさんがこう言ったんです。
「Take it easy.君が第一にやるべきなのは、登山を楽しむことだよ。」
前回のコトパクシでは、とにかく登ることに必死で、山を楽しむ余裕があまりなかったように思います。
今回は時間は短かったし、景色もほとんど見られなかったけど、山の空気感を、その手ざわり、足ざわりを、そして自分自身との対話を、ちゃんと楽しむことができていました

"私の登山"が何かを思い出させて下さったガイドさんとエクアドルの山に、
そして、涙が出るほど温かく接して下さった皆さんに、心から感謝しています。
ありがとう。本当にありがとう

ご飯も美味しくて、人が皆底抜けに明るいこの国に、もっと成長してからまた来ようと思います。
その時もし、あの山が私を受け入れて下さるのなら、山の神様が許して下さるのなら・・・氷河の上から地球を見下ろしてみたいと思います!
なにはともあれエクアドル、楽しかった!
ありがとうございました

【終わり】
2015.02【エクアドル登山旅行】コトパクシ登山(登頂なし)
【2015.02エクアドル登山旅行】山行一覧
◆ピチンチャ登山
◆コトパクシ登山
◆チンボラソ登山
※エクアドル登山旅行の報告記事はこちら
今年最初の登山旅行は、南米・エクアドルへ!

※あまりの低温だったためか、GPSの記録が登山途中のかなり早い段階で途切れてしまいました・・・このため記録は途中までになっています。
※ルートラボだと周辺の詳細地図が無いようです

ルートマップページはコチラ
■今回のコースと所要時間
所要時間合計(休憩等込み):約9時間25分
(行動時間)
駐車場(標高約4,500m)―【約1時間15分】→ホセリバス小屋(標高約4,800m)―【約1時間】→氷河末端(標高5,100m位?)―【約4時間35分】→この日の最高地点(引き返すことを決めた地点)―【約1時間50分】→氷河末端―【約30分】→ホセリバス小屋―【約15分】→駐車場
※詳細な記録がつけられなかったため、行動時間の中に細かい休憩が多数含まれてしまっています。
さぁ、ここからはエクアドルの高峰登山2連続!
まずはコトパクシへお邪魔しましたー!


コトパクシはエクアドル第二の高峰で、その整った姿はまるで富士山のようです。
しかし、標高は富士山よりもずっと高く、5,897mもあるんです!

本当にすごい山ですね・・・。

登山の際にはちょうど雪の積もっているラインより少し下、標高約4,500m地点まで車で行くことができます。
そして標高5,000mを超えてくる辺りからは、ただただ真っ白な氷河の世界を登っていくんです。
写真は小さくて分かりづらいですが、よーく見ると山頂に向かうジグザグの道があるんですよー。

あんなところを登るのか・・・果たして自分に登れるのだろうか・・・
登山前日、私は色んな思いでその山を見上げていました。
コトパクシ登山は、初日に駐車場からホセリバス小屋(標高約4,800m、駐車場から徒歩1時間程度)まで登り、翌日登頂を目指すという1泊2日コースが一般的なようです。
しかし今回、小屋の改装工事が予定よりも長引いてしまっているようで、私たちは宿泊することができませんでした・・・

とても長くて急なコースであることと、6,000m近い標高であることから、小屋に泊まれるとかなり助かるところだったのですが・・・こればっかりは仕方がありません。
私たちは出発当日に麓の宿から駐車場まで車で上がり、そこから登山をスタートさせることにしました

そして当日、真夜中に駐車場までやってきた私たち。
祈りが通じたのか、天気は晴れていて視界も良好でした。
コトパクシの氷河が月の光に照らされて暗闇に白く浮かび上がっている様子は、信じられないほど美しく、幻想的でした。
私は移動中の車窓からその光景をずっと眺めながら、「この景色を、私は一生忘れない」と心に誓ったのでした。
しかし、駐車場に着いて車を降りると、かなりの強風が吹き付けてきたのでびっくり

カメラが風に煽られて固定できないのと、夜の暗さが相まって、撮った写真はブレッブレになってしまいました(苦笑)
本当はもっとキレイだったんですよーっ


私たちは車を風除けにしながら装備をしっかりと整えて、ヘッドライトを点けるといよいよ歩き始めました。
しばらくは富士山の砂走りを思わせるような砂礫の道が続きます。
足を取られてずるずるっと滑るので、やや歩きづらくてペースが上がりませんでしたが、1時間15分ほどでホセリバス小屋までやってくることができました

えっと・・・ある意味では、ここから登山スタートとも言います(苦笑)
小屋からさらに進んでいくと少しずつ雪が出て来て、ついに氷河末端に到着しました!
ここからアイゼンを装着して登り始めます。前日に登山をした別のガイドさんから聞いていた通り、雪の状態が良くてアイゼンがしっかり効くので助かりました

この頃から山頂方面は雲に覆われてしまいましたが、眼下の雲間に見え隠れするオレンジ色の町の光を心のよりどころにして、一歩一歩登っていきました。

やがて傾斜はびっくりするぐらい急になってきました

顔を上げれば、これまでちょっと見たことがないぐらいに長い、長い、長―――い急坂が果てしなく続いているのが見えました

標高もすでに5,000mを超えています。心臓も肺も脳も筋肉も、全身総動員で登っていきました。
暗闇ではありますが、見える範囲の景色はとても壮大でした


しかし、そのうちに、私たちは先行していた何組かのグループと立て続けにすれ違いました。
彼らは登頂したのではなく、上の方の天候が悪いので途中で引き返してきたとのことでした。
ガイドさん同士であれこれ情報交換をしてもらった(スペイン語が分からないので参加できない・苦笑)結果、まだ登山は可能とのことで、私たちはさらに上を目指していきました。
でも・・・こうして登っていくうちに、状況は確かに少しずつ良くない方向へ変わり始めていました。
相変わらず吹き付けてくる強い風に、霙が混ざるようになってきたんです


うちのガイドさんは「何とかして頂上に立たせてあげよう」という気持ちの強い方で、その思いは繋がったロープを通じてひしひしと伝わってきました。
そのためには天候がこれ以上悪くなる前に、もっとペースアップして登っていきたいところですが・・・高度順応が完全ではない身体では、現状のペースで精一杯でした。
私は低酸素の中、飛びそうになる意識を何度も引き戻し、とてつもなく急で終わりの見えない斜面をひたすら懸命に!懸命に!!懸命に!!!登り続けました。
それでも・・・
「登頂よりも大切なもの」を、見失ってはいけないね。
登山開始から7時間弱、標高は5,700mほどまで上がった頃でしょうか。(GPSが途中で切れてしまったため、後でガイドさんから伺った標高です

私たちは登頂を目指すことをやめ、引き返すことに決めたのでした

実はこの時、過冷却と思われる現象が発生していたのだと思います。
風に乗って吹き付けてくる水滴は、私たちの身体や装備に当たるとたちまち氷化して、みるみる分厚く成長していきました。
(これは手袋をしている手の写真です)

厳冬期用の装備を整えていたので、生身の身体に凍傷などの影響が出ることはありませんでしたが、氷で身体も重くなってくるし、長時間ここに滞在するのは危険

とはいえ、先ほどまでかなりきつい思いをして登ってきた長―――い急斜面は、下りもそう楽なものではありませんでした

度々細かい休憩を挟みながら、ただただ白い世界をとにかく下って、下って、下って・・・・・・
一度座り込んでしまうともう動きたくなくなってしまうので、何度も気持ちを入れ直して、ひたすら下り続けました。

そして登りの時よりはさすがに早く、氷河末端まで戻ってくることができましたー!!
ふーっ・・・・・・。
ここでアイゼンを外し、身体に着いている氷を叩き割って落としました。(手で簡単にはがせるようなレベルじゃなかった

ピッケルもストックも一回り太くなっていると思ったら、氷漬けじゃありませんか!!


さぁ、ここからは駐車場まで下るのみです。
登りでは暗くてよく分からなかったけど、こんなに赤茶けた景色だったんだねぇ・・・。

しかし、歩き始めると今度はなんだか雨が強くなってきましたー!!

ガイドさんは速い速い!私も頑張ってハイスピードで下っていきました。

そしてホセリバス小屋をあっさり通過し、砂走りのような砂礫の道を駆け下りて駐車場へ!
最後はかなり疲れていましたが、足に優しい道だったので助かりましたー。

駐車場に着く直前からは雨風がかなり激しくなってきて、嵐の様相に。。。慌てて車に飛び乗りました

ウェアやギアは宿で乾かそう!と車の後部に無造作に積み込んで、風でゆさゆさ揺れる車にエンジンをかけました。
そして、駐車場を後にして少し下っていくと・・・なんと、あっという間にからりとした青空が広がったんです



山の天気と麓の天気が違うことはよくありますが、ここまで極端に違っているとは・・・びっくりですねー。
実は、コトパクシの駐車場の辺りから自転車で駆け下りるというアクティビティがあるのですが、その自転車を満載して駐車場へ向かうツアーのバスと途中ですれ違ったんですよね。
車内の皆さん、ワクワク楽しそうな表情でしたが・・・駐車場に着いてびっくりするかも(苦笑)
こうして無事に、麓の宿まで戻ることのできた私たちだったのでした。
というわけで、今回はコトパクシへの登頂は叶いませんでした。状況的にも、無理に登頂を目指さなくて良かったと感じています

ただ、コトパクシからの景色をあまり望めなかったことについては、少し心残りだったなぁー

うん・・・でも、心残りがあるのなら、何度でもまたお邪魔すればいいんだよね。
やっぱり標高が6,000m近い氷河の山は、本当に大きくて、本当に厳しいです。
今回たくさんの課題も見つかったので、それをしっかりと解決して、少しでも成長した自分でまたここを訪れることができたらいいな

麓から見上げたコトパクシの美しい姿、車窓から眺めた月夜に浮かび上がる幻想的な姿は、「ここに来て良かった」と思わせるのに十分なものでした

あの美しい姿を、またいつか・・・。本当に、ありがとうございました!

【終わり】