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2010.06磐梯山ひとり登山(1)

磐梯山(1,819m/福島県猪苗代町)

今回のルートマップはコチラ(ルートラボ)

ある週末、土曜と日曜それぞれ日帰りで2座、南東北の山に登る計画を立てていました。
ところが土曜の朝に突然のトラブルが発生し、出発することができなくなってしまったんです・・・

とても楽しみにしていただけに、がっかりしてしばらく放心してしまった私でしたが、
こんな気持ちを抱えたまま地上で過ごすなんて、自分らしくない。今日の山は諦めるしかないけど、日曜に予定していた山だけでも登ってこよう!と気持ちを入れ替えて、ひとり高速バスに乗り込んだのでした。

こうして猪苗代駅へと降り立った頃には、時刻は既に夕方になっていました。
午後から降り続いていたという雨がちょうど上がったところで、駅前には夕日が射していましたが、向こうの空にはいまだ真っ黒な雨雲が垂れ込めていました。
だけど・・・私は見たんです。その真っ黒な空に、ひとすじの虹がかかっているのを。
それは今にも消えそうに頼りないものだったけど・・・見えるかなぁ?
虹。見えるかなぁ?
その光景を、私はまるで自分の心の中を見るような気分で眺めていました。
きっと大丈夫。明日はきっと、いい山行になるよ。

その日、私は登山口からほど近いところにある宿に泊まりました。
ザックを背負って1人でやってきた私を、宿の方々は温かく迎えてくれました。

そして翌早朝、私はしんと静まり返った宿をそっと後にしました。
ようやく太陽が起きだした頃でしたが、既に辺りは朝を告げる鳥たちの声で賑やかでした。
「そうだね、朝だね・・・。うん、分かってる。もう行くよ。」
鳥たちの声に急き立てられるようにして、私は誰ひとりいない車道を登山口に向かって歩き始めます。
登山口へ向かう

ほどなく、猪苗代スキー場の入口へとたどり着きました。
宿の方に昨夜教えて頂いたとおりに、左側へ回り込むようにしてスキー場の中へ入っていきます。
磐梯山が見えてきた!
抜けるような青空。前方には、この日目指す磐梯山がはっきりと姿を現しました

磐梯山の登山ルートはいくつかあって、比較的短い行程で登頂できる八方台ルートなどが人気のようです。
私の使った猪苗代口ルートはスキー場の急斜面を登っていくこともあり、利用する人は少ないのかもしれません。この時も登り始めに1組のご夫婦を抜かした後は、遠くに単独行の男性を認めるだけでしばらく「本当の単独行」が続いたのでした。

いよいよスキー場の急斜面に差し掛かった頃、急に下から真っ白なガスがもくもくと湧き上がってきました!
見る見るうちに白く霞んでいく視界・・・
ガスに覆われる

これはまずい。私は追いかけてくるガスを振り切ろうと、一気にペースを上げました。
実は、昨日宿の人から2つの重要な情報を伺っていたんです。
1つは、登山道にブユと呼ばれる小さな虫が発生していて、血を吸われたり目に飛び込まれたりするので、立ち止まると危険だということ。
そしてもう1つは、ごく最近、このスキー場のリフトの下で登山者らしき方の遺体が発見されたということ。
私はガスで視界を失うことの恐怖と、ブユの恐怖に襲われていました。

しかし、本来ならリフトでさっと登って、スキーでシャーっと滑り下りるような斜面。歩いて登るにはかなりキツイ急傾斜なわけで・・・
ここ最近、格段に息が上がりにくくなったことを実感していた私でしたが、この時ばかりはゼーゼーと息を荒げて、とにかく必死に「白い追っ手」から逃れようと先を急ぐのでした。
ガスとの戦い!

この斜面、どこまで続くのー!?
まだまだ続く急坂

こうしてなんとかスキー場の斜面を登り切った私。振り返るとガスたちははるか足元でくすぶっていました。
良かった、もう追ってはこないみたい。少しホッとします。
スキー場の斜面を登り切りました

ブユの不安もあるので立ち止まることはしませんでしたが、ここまでのきつい登りでも私は結構辺りの草花を楽しんで登っていたようです(笑)写りは悪いけど、花の写真が何枚もデータに残っていました。
朝露に濡れる花たち

そしてようやく見つけた、登山者向けの看板。
天の庭
「天の庭」かぁ。素敵な名前だね
この辺りは景色もだいぶ開けてはいたのですが、この時は木々の頭ごしに巻き上がる白いガスを見るばかりでした。

それから、雰囲気の良い森に入ります。土や岩の様子が、火山らしくなってきました。
誰もいない登山道を、私はどんどん進んでいきます。
雰囲気のいい森

やがて森を抜けると、景色が大きく開けました!
「わぁぁあ・・・・っ!」
青空の中の磐梯山
雲ひとつない青空に聳える大きな山の姿・・・あれが磐梯山の山頂なんだ!
その雄大さに思わず足を止めた私は、背後に"何か"を感じて、ふと振り返りました。



・・・・・・・・・え?



雲の上の世界


遥か遠く、見渡す限りの真っ白な雲の海。私はいつの間にか、雲の上の世界に立っていたんです。
それは静かな、とても静かな世界の光景でした。


あぁ・・・・・・・・・・・・・・・

私の中で、抑えていた何かの糸がぷつんと切れた気がしました。
私はそのまま、その場に両膝をついて、

・・・泣きました。


これまで何度も単独行をしてきたけれど、こんなに「孤独」を感じた日はなかった。
昨日の朝からずっと、私の心の中には真っ黒な雲が淀んでいるみたいだった。
だけど、虹は確かにかかってたんだね。

山の美しさや厳しさ、そういう色んなものを見てきたつもりだったけど、この時初めて「山の優しさ」を思いました。
こんなにちっぽけで、ひとりぼっちの私でも、山はその懐に置いてくれるんだね。
本当にありがとう。私・・・やっぱり山に来て良かったよ

美しい、光景です。

うん、本当に良かった。


【次回へ続く】
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Comment

2010.10.30 Sat 08:23  |  管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2010.10.30 Sat 22:21  |  

最初の絵、いいですね。

2010.10.30 Sat 22:33  |  こんばんは

またおじゃましてしまいました。
みごとな雲海ですね☆
単独での山ですか~。まだ未経験です。
読んでいてどきどきしちゃいました。
でも、よかった。山に来てよかったってやっぱり思うのですね。


お返事ありがとうございます。
大雪山、わたしの街からはすでに真っ白い姿に見えてます。。。
冬がやってきました。
来週から札幌に行くので、もういちど探してみます。
なければアマゾンですね☆
またおじゃまします♪


2010.10.31 Sun 20:58  |  こんばんわ^^

山女子さん写真撮るの上手いですね~
特に雲海の写真が凄く好きです。
あと自分撮りも上手い!
俺ももう少し上手く撮れるように練習しないと^^;

昨日は台風で浅間山登る計画が流れてしまい
今週末はストレス発散が出来なくて悶々としてますw

でも身近に登山始めそうな友人が出来たんで
とてもワクワクしております♪
手始めに一緒に陣場山まで歩く計画を練ってますです。

あぁ山ってなんでこんなに素敵なんでしょうね。
周りの人間は爺臭いとか言うんですけど、
人生損してますよねww

では。

  • #-
  • 変態なかじ
  • URL

2010.11.01 Mon 00:03  |  野良通信様

野良通信様、こんばんは!コメントありがとうございます。

最初の絵、虹の写真でしょうか。見づらくてすいません、ありがとうございます☆

2010.11.01 Mon 00:15  |  ゆてゆて様

ゆてゆて様、こんばんは!コメントありがとうございます。

はい、この時の磐梯山では、本当に見事な雲海を見ることができました☆
この辺りまではしみじみした気持ちで登っていたのですが、この後色んな出会いやハプニングもあったりして・・・(笑)
やっぱり山はやめられないなぁって思いますe-454

北海道はもう冬ですか!大雪山はもう雪山なのですね・・・。きっともうかなり寒いでしょうね。
関東周辺もだいぶ寒くなってきました。残り少ない秋を楽しみたいと思いますe-454

本の件、お手数をおかけしてすみませんe-466

2010.11.01 Mon 00:25  |  変態なかじ様

変態なかじ様、こんばんは!コメントありがとうございます。

山は天気がいいと、普通に写真を撮っても鮮やかに写って、なんだか自分の腕前が上がったような気になれるからいいですよね(笑)
自分撮りや、他に誰もいない場所での集合写真を撮る時には、やはり「山三脚」のゴリラポッドが重宝します☆

土曜は浅間山をご計画なさっていたのですね~!それは残念でした。
実は私も土日でテント泊登山を計画していたのが中止になってしまいまして・・・その計画は既に何度か延期になっていたので、かなりションボリですe-330
でもその分準備期間が延びたんだと思って、今は山ごはんのメニューを友達とあれこれ相談中です☆

新しい山友達(候補)、楽しみですね♪是非是非山の魅力に引き込んであげてください!
でも周りに山の良さを伝えようとすると、自分がもっと山にハマってしまうという罠が(笑)

2010.11.01 Mon 23:16  |  

こんばんは。
ブログ読んで私まで涙ぐんじゃいました。
私は10月29日金曜日に四阿山に登って来ました。
眼下の雲海。
雲海の上の北アルプスの山々。
自分なんてちっぽけだな~とつくづく感じました。

もっともっと早く山の魅力に気づけば・・・と思いますが
山もとがーるも頑張って色々な山にチャレンジしたいと思います。

  • #-
  • いちごスペシャルファンクラブ
  • URL

2010.11.13 Sat 00:15  |  いちごスペシャルファンクラブ様

いちごスペシャルファンクラブ様、こんばんは!コメントありがとうございます。
ご返信がかなり遅れてしまい、ごめんなさいe-444

ブログをご覧頂き、ありがとうございます。
四阿山、いいですね~!私も是非登ってみたいです。
眼下に広がる雲海の光景は、いつ見ても本当に感動させられますよね。
私も今回の磐梯山登山では、心にパワーをいっぱいもらってきました。

これからもどうぞ無理なく楽しく山歩きを続けられて下さいね!
私も安全第一でマイペースに登っていきたいと思いますe-454

2010.11.14 Sun 13:07  |  はじめまして

yamajoshiさん こんにちは

ちょこちょこ、山行のほうのぞかせていただいています。

山の標高の大小に関係なく、
真摯に山に向き合ったおられる様子、
素敵ですね。
山の様子楽しみにしています。

自分は、奈良県中部出身のため、
違和感なく登山をするようになりました。
石鎚山と同じく、大峰・大台・熊野をはじめ修験道の山が多く、
内面を向き合ったりということを目的にする事が多いように思います。
登っている途中に、無心になる瞬間があり、
それを体験したいからというのも理由の一つです。

3,000m級の山に登るようになったのは、
14年前、中学校の行事で、富士山にのぼってからで、
以来、やめられなくなってしまいました。

20代になってからは、フィルム一眼カメラを担いで、
星景写真をとるようになり、
ますますやめられなくなりました。笑

今年の冬は、北横岳に行こうとおもっています。
yamajoshiさんがスノーシューで行かれた時は、
結構トレースがついているような状況だったのでしょうか?
歩きにくそうなご様子でしたので、
当時の状況をお聞きしようとおもいました。

今回は、12本爪アイゼンにストックで行こうと思っています。

では、またお邪魔させていただきますね



2010.11.18 Thu 23:52  |  die_nacht様

die_nacht様、こんばんは!コメントありがとうございます。

ブログをご覧頂きありがとうございます。私は元々高山の景色に惹かれて登山を始めましたが、実際に登ってみると低山にはまた高山とは違った面白さや感動があるように思いますe-454

奈良の自然もとても素晴らしいと友人から聞いたことがあります。子どもの頃から山に親しめる環境って素敵ですよね。

さて、北横岳ですが、私がお邪魔したのはシーズンもかなり終盤で、坪庭あたりは部分的に雪が解けて岩が露出しているようなところもあったので、スノーシューでは歩きづらかったです。
山頂までのルート全体を通じても、むしろスノーシューを脱ぐか、アイゼンに履き替えた方が格段に歩きやすいような状況でしたe-330
これからの真冬の時期にはまた状況は違うのでしょうね。どうぞお気をつけて、楽しんできて下さいね☆

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