2011.11二子山(東岳~西岳上級者コース)登山(1)

二子山(1,165.6m/埼玉県秩父郡)



■参考マップ
山と高原地図 25 雲取山・両神山

※ご注意
当ルートは大変危険な個所が多いため、決して気軽に登れるものではありません。
登山を計画されている方は、諸条件を踏まえて他ルート(西岳一般コース:とはいえこちらも危険個所アリです)や近隣の他の山も含め、柔軟かつ慎重に検討して頂くことをお勧めします


最近、あるイベントで登山についてお話しさせて頂いた時に、いらっしゃった方から
「これまでの登山で一番印象に残ったのはどこの山ですか?」
という質問を受けました。

素晴らしい景色に出会えた山、大きな感動と達成感を味わった縦走・・・色んな山が浮かびましたが、とっさに私の口から出たのはここ、二子山の名前でした。

2008年10月、この山で私が味わったのは、感動や達成感とは程遠いものでした。天気も悪く、眺望もほとんど得られませんでした

でも、この時の登山があったからこそ、今の私がこうしていられるのだと思うんです。
あれから約3年、二子山から与えられた「宿題」を、ようやく果たす時がやってきました


まだ薄暗い朝6時過ぎ、私たちは登山口へやってきました。
登山口前のバイオトイレを借り、準備を整えてから登山道へと入っていきます。
登山口

ここからしばらく、薄暗い植林帯を登っていきます。
倒木も所々に見られ、荒々しい雰囲気ですねー。
倒木が・・・

やがて広葉樹が増えて森が明るくなってくると、木々を透かして向こうの空が見えてきましたー。
そして、モルゲンロートに輝く岩峰の姿が・・・なんという美しさでしょう
モルゲンロート!

こうして登山口から息を弾ませ登っていくこと50分ほど、東岳と西岳の分岐となる股峠に到着しました!
股峠

前回ここに来た時と比べると、体力・気力・時間ともに余裕が十分あります
私たちはまず、東岳を往復してくることにしました。

登山コースとしては股峠から西岳へと続いており、東岳のコース上には険しい岩場もあるため、全ての登山者さんが東岳に立ち寄るわけではなさそうです。
登り始めは踏み跡がやや不明瞭でしたが、冬枯れの森からは目指す先の岩場がよく見えました。
まずは東岳へ

道はやがて乾いた落ち葉で滑りやすく、また岩もごつごつと目立ってきて歩きづらくもなってきました。
さらに傾斜がきつくなり、ついにはロープや鎖のつけられた険しい岩場になりましたー
手がかり、足がかりは多いので、三点支持を意識しながら慎重に登っていきます。
険しい岩場

やや緊張する岩場の登りを終えると、背後にある西岳方面の景色にあっと息を呑みました。
「何、これ・・・すごっ!!
異様とも思えるほどのその姿に、圧倒されてしまいます!
ものすごいです!

しかし、これから目指す東岳の頂上も、とても険しく荒々しい雰囲気を纏っていました。
東岳

道はこの左側から稜線を伝うようにつけられています。
ごつごつとした岩だらけの痩せ尾根で、辺りには細い木々や草しか生えていないので、バランスを崩すと転落の危険があります

私は一歩一歩慎重に進んでいき、無事に東岳の頂上へと登ってくることができましたー!
山頂標識の文字がちょっと見づらいですが、登頂です!
東岳頂上

冬枯れの木々もまばらな山頂からは、周囲の山々が広く見渡せました。
山また山の本当に素晴らしい光景です
素晴らしい景色!

私たちは少しの間景色を眺めると、早々に頂上を後にしました。
吹き抜ける風が冷たかったからでもあるのですが、後から登ってくる人がまだ来ないうちに危険な道を戻っておきたかったんです。
できれば険しい岩場で登山者さんとすれ違いたくないですしね
戻ります

それから私たちは再び西岳の景色を眺めてから、鎖場を慎重に下って股峠へと戻ってきましたー。
その時、ふと目に留まったのがこの看板。
「ゴミと命は持ちかえり」

「ゴミと命は持ちかえり」
この山だからこそ、一層心にズシンと響く言葉ですねー。
どちらもちゃんと持ち帰ります!

ここから西岳頂上までは、一般コース(下図青ライン)と上級者コース(下図赤ライン)の2つのコースがあります。
案内図

前回は迷わず一般コースを使いましたが、今回は登山前に収集した情報と自分&同行者さんの状況から、上級者コースを登る計画を立てていました。
そして今ここまできて、天気や道の状況、自分たちの状態にも問題がなさそうなので、計画通り上級者コースへ進むことにしました。

上級者コースの入り口に、こういう看板が立てられていました。
「危険を感じたら引き返す勇気を」
上級者コース入口

私たちももちろん、「いつでも引き返せるようにしよう」と話をして先へと進みました。

こうして始まった二子山西岳の上級者コース。
荒々しい岩が壁のように立ちはだかりますが、こちらのコースには鎖が設置されていません。

手や足の置き場自体は多くあるので、落ち着いて慎重に登っていきます。
岩場が始まります

そして、ついに核心部分に入りましたー!
一般登山道の岩場としては、今までに見たことがないほどせり立った岩壁です!

岩に手を掛けた時、私の心臓はドキドキと高鳴っていました。
「こんなにすごいところを、私が登らせてもらっていいんだろうか。」

ここが危険な場所であるという認識、「怖い」という感覚は少なからずあります。
ただ、その恐怖は筋肉を硬直させたり、足をすくませるような類のものではありませんでした。

こうして登り始めてみると、辺りにはまばらながら草木が生えているので、高度感はそれほど強烈ではないように感じました。
また、所々に大きな足場が出てくるので、細切れに目標を定めて一息つきながら登っていくことができた点もありがたかったです。

慎重に、一歩一歩、確実に。
この時の私はとにかく集中していて、体中の細胞という細胞が全て目を覚まし、全身で目の前の岩場に向かっているような感覚を覚えたのでした。
険しい岩場を登る

【次回へ続く】
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2011.11二子山(東岳~西岳上級者コース)登山(2)

※ご注意
当ルートは大変危険な個所が多いため、決して気軽に登れるものではありません。
登山を計画されている方は、諸条件を踏まえて他ルート(西岳一般コース:とはいえこちらも危険個所アリです)や近隣の他の山も含め、柔軟かつ慎重に検討して頂くことをお勧めします。


二子山登山、(1)の続きです。

股峠から東岳を往復した後、西岳の上級者コースへと進んだ私たち。
鎖などの設置されていない急峻な岩場を登っていきます。

このような岩壁を、両手両足を使って慎重に、確実に上を目指して進んでいきました。
険しい岩壁

こうして何とか核心部分を登り切ると、ようやく二本足で立てる場所が出てきましたー(苦笑)
冬枯れの草木をかき分けて岩場をさらに進んでいくと、上級者コースへ進む人に対する注意看板が現れました。

上級者コースから登ってきたこの場所は、西岳の東峰のよううです。(東岳とまぎらわしいですが・・・
その先からは視界が開け、岩稜の先に西岳の山頂標識がぽつんと立てられているのが見えました。
そして・・・視界いっぱいに素晴らしい景色が広がっていたんです
素晴らしい景色!

冷たく澄んだ朝の空気の中、この場所からは両神山の荒々しい稜線や、複雑に入り組んだ地形がはっきりと見えていました。
あぁ・・・これは、何という世界だろう。

私はふと、アメリカのグランドキャニオンを訪れた時に聞いたことを思い出しました。
「早朝や夕方には、太陽が真上から照りつける昼間には見えてこない景色があるんだ。太陽が低い位置にあるからこそ、地形がくっきりとした陰影になって立体的に浮かび上がるんだよ。」

それは深くて、美しくて、神々しくて・・・言葉にならないような世界の光景でした。
胸にぐっとこみあげてくるものを抑えながら、私は再び歩き始めました。

やがて、以前登ってきた一般コースと合流すると、その先に山頂標識がありました。

二子山(西岳)、無事登頂です!
二子山西岳山頂


二子山の神様、ようやく私はここに戻ってくることができました。

登山を始めてすぐ、私はまともな装備も持たず、きちんとした計画も技術もないままここまでやってきてしまいました
そんな無謀登山の私に、二子山の神様は山の厳しさを教えてくれました。

しかも、山をナメて、山に対してこんなにも失礼な態度で臨んでしまったのに、二子山の神様は私を生かして下界まで帰してくれたんです。


「山に登ろうと思うのなら、もっともっと真剣に山と向き合いなさい」

あの時、山にそう教えられたからこそ、今でも私は元気に山登りを続けていられるのだと思います。
まだまだ、まだまだですが、少しずつでも成長できているのではないかと思います。

私の心の中には、特別な想いが溢れていました。
二子山の神様、本当に・・・すみませんでした。
そして、ありがとうございました


あの時は山頂で雨に降られましたが、この時は信じられないほど穏やかな青空が広がっていました。
キンと冷えた空気は澄み渡り、遥か遠くの景色まで見渡すことができました。
なんて清々しい気分だろう!

それでも、ここで気を緩めるわけにはいきません。
私はしばらく山頂で景色を眺めた後、もう一度気を引き締めて再びザックを背負いました。

その先に待っているのは、こんなにも険しいナイフリッジです
ナイフリッジです

西岳一般コースで登頂した人も、この先へ進む場合にはこの稜線を行くしかありません。
しつこくて申し訳ないですが・・・行かれる方は本当に気を付けて下さい

幸いなことにこの時は周囲に人がおらず、天気も良かったので、人や雨に急かされることなく自分のペースで進むことができました。
前回はガスが立ち込めていてほとんど見えなかった谷底の景色も、今回は丸見えです
(高所恐怖症の方は結構きついかもしれませんね

私は一歩一歩足場を確かめ、安定した場所では一呼吸置いて景色を眺めながら、じっくりと進んでいきました。
そしてナイフリッジが一段落したところで振り返ると・・・

振り返ると・・・


前回と同様に「私、こんなところを歩いてきたんだぁー!!」と驚くばかりです(苦笑)

そして、目の前に広がるこの景色!
この景色!

これから私たちが下りていく先の道もはっきりと見えていますよー
これから向かう道も

しかーし!危険な岩場地帯はまだ終わりではありません
油断せずに進みます。
まだまだ!

足下にはこんな岩が。
石灰岩が長い年月を経て浸食され、このような姿になったんですね。
足を引っ掛けないように気を付けなきゃ
すごい形です

と、こんな風に険しい道は続いていましたが、そんな中にも心和む光景がありました。
こんなに厳しい環境でも、花は咲いているんです!
こんなところにも花が!

その一方で、こんな景色も目にしました。
叶山を見る

向こうに見える白い部分は、叶山です。
この山は、武甲山と同じく石灰の採掘が行われているのだそうです。
頭がスパッと切り落とされたようなその姿からは、かつての山容を窺い知ることはできません。
色々な事情があるからこそ安易にひとつの答えを出すことはできませんが、私は複雑な気持ちで「白い山」を眺めました。

こうして西岳山頂から続く危険な岩稜歩きは、そろそろ終わりを迎えようとしていました。
ここが最後の難所です!
最後の難所

これは下り終わってから振り返って撮影しました。垂直に近い岩壁を数メートル下ります。
前回は手や足の置き場所に迷ってオロオロしてしまった記憶があるのですが、今回は余裕を持ってスムーズに下ることができました
(写真の左下に金属の足場が設置されているのが見えるでしょうか?足の置き場に困った場合はこれをうまく利用すると良さそうです。)

ここまでくれば、後は通常の登山道です。
上級者コースの入り口からずっと緊張する場面が続いていたので、ようやく少しホッとできました

私たちは植林帯の登山道を下っていきました。土の道がなんだか懐かしい気分(苦笑)
ようやく土の道

すると木々が切り開かれて、見晴らしの良い道に出ましたー!
その先に魚尾道峠の分岐標識が立っていました。前回はここから志賀坂峠へ下りるつもりだったのに、なぜかローソク岩の方へ進んでしまったんだっけ

ここは先ほどまでの険しい岩場が嘘のように、ぽかぽかと暖かくのどかな雰囲気の漂う場所でした。
そしてここからは、二子山のてっぺんの岩場から麓に向かう森まで、その山容を大きく見渡すことができました。

これは少し先に進んだ場所で撮影したものですが・・・
美しい二子山の姿

青空の下、中腹に紅葉の森を纏って聳える岩山の姿は、まるで別の国の光景のように思えました。
「わぁ・・・二子山って、こんなにキレイな山だったんだね・・・

濡れ鼠になって、終バスの時間を気にしながら足早に下りて行ったあの時の私には、この山の美しさに気付くことはできませんでした。
私はしみじみとその山の姿を見上げます。

よーし、せっかくだからもう少しここで二子山を眺めていこう!
という訳で、私たちは邪魔にならない場所に腰を下ろし、山ごはんを作ることにしましたー!

今回はマルタイ 棒ラーメンにちょっと具を足した山ラーメンです!
山ラーメン!

陽だまりの中で食べる熱々ラーメンは少し汗ばむほどでしたが、素晴らしい景色を眺めながら美味しく頂きました。
これはもう、大満足です!

こうしてお腹も心も満たした私たちは、荷物をまとめると下山を再開しました。
見晴らしの良い道を、何度も振り返りながら下っていきます。

鉄塔を過ぎると、気持ちの良い林の中の道へ。
さっきまで険しい岩場をよじ登っていたなんて、嘘みたいですね。
下ります

こうして30分ほど下ったところで、舗装道路に出てくることができましたー。
この時点でまだお昼前。前回は舗装道路に出て来れたのが16時半を過ぎていたんですよね。。

ここからスタート地点の坂本登山口までは歩いて10分ほど。
私たちは向こうに聳える二子山を見上げながら、のんびりと帰っていったのでした。
登山口へ戻ります


今回お邪魔した二子山は、私にとって登山者としての原点ともいえる山でした。
だからこそ、一歩一歩に思いを込めて登らせてもらいました。

初めて登った時には、この山の険しさ、厳しさ、恐ろしさが強く印象に残りましたが、今回はそれに加えてこの山の優しさや美しさを感じることができました

それでもやっぱり私はまだまだ、まだまだだと強く感じています。
これからももっともっと真剣に山と向き合い、勉強と経験を重ねて、またここへお邪魔したいと思います。

二子山さん、本当に本当にありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします!

【終わり】
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